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まじない




きちんと整頓された書棚。
何も置かれていないテーブル。
まだ客の入っていないホテルの一室にあるようなベッド。
無論、床にはゴミなどひとつも無い。

……なんだ、この部屋は。


一緒に出歩くようになって数ヶ月、今晩初めてカカシ先生は俺を部屋に誘った。
「あのぅ、イルカ先生、よかったらこれから俺の部屋で飲みなおしませんか」
すこし照れながら言うカカシ先生に俺は内心少なからずも驚いた。そして喜んだ。
この人が部屋に人を上げるとすれば、それはかの人の懐に入ったも同然。カカシ先生が本気の証拠だ。
好きだ、好きだと言いながら、どこか肝心な部分をいつもぼやかされている気がしていた俺は心のどこかで安堵していた。
掴めなかったものの端をこの手に掴めたような気がしていた。




そんな俺を打ちのめすかのようなこの部屋。

……なんだ、この部屋は。

仮住まいのような。
明日の準備のまるでない。
帰って来れない任務に出て行く前のように。
一分の隙なく整えられた部屋。


俺は本棚の本をめちゃくちゃに並び替えた。
多分、カカシ先生はすぐに気付くだろう。
そしてまた元のように誤りの無い並びに戻すだろう。
でも俺はここに来る度にでたらめをしようと思う。

これはまじないなんだ。
まったくでたらめなまじない。
手に入れた小鳥が遠くに飛んでいってしまないようにと願うまじない。










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